法人の整理・破産 / 費用

法人破産の費用がない・払えないときは?費用の内訳・支払時期と相談の準備

いくら必要か。 いつ、払うのか。

この記事で分かること

  • 広告の弁護士費用だけでは総額が分からない
  • 東京地裁の例と全国共通の費用を混同しない
  • 残高だけでなく入出金の予定を持って相談する

会社の破産に必要なお金は、弁護士に払う費用だけではありません。裁判所に納める費用のほかに、資料の取り寄せや事務所・在庫の片付けなど、会社の状態によってかかる費用もあります。「総額」「いつまでに払うか」「何が別料金か」の3点をまとめて確かめると、見積もりを比べやすくなります。

手元のお金が少なくても、費用が貯まるまで相談を待つ必要はありません。今あるお金と、これからの入金・支払いを伝えて、申立てまでの進め方を相談してください。

法人破産の費用は3つに分けて考える

区分 主な内容 見積もりで確かめること
弁護士に払う費用 相談料、申立代理人の着手金・報酬、出張など 消費税込みか。どの業務まで含むか。追加になる条件は何か
裁判所に納める費用 申立手数料、管財手続きの予納金、官報公告費、郵券など 申立先と手続きに合った金額か。公告費を二重に入れていないか
会社ごとにかかる実費 登記事項証明書などの取り寄せ、郵送、資料の保管など 弁護士費用に含むか、別に精算か。本当に必要か、いつ払うか

事務所の明渡し、残った物の処分、従業員への対応などがあれば、その費用とやり方も別に考えます。ただし、見積もりを取るために、先に資産を売ったり処分したり、特定の債権者にだけ払ったりはしないでください。何を誰が負担し、いつするかは、弁護士と確かめることです。

広告の「○万円から」は、一定の条件のときの弁護士費用だけを示していることがあります。どの事務所にも同じ会社の状況を説明し、費用に含まれる範囲をそろえて比べましょう。

東京地裁の2026年資料では、裁判所費用はいくらか

全国で同じ総額になるわけではありませんが、内訳をつかむ例として東京地方裁判所民事第20部の資料が使えます。2026年1月1日現在の破産事件の手続費用一覧には、会社が自分で破産を申し立てる場合について、次のように書かれています。

項目 東京地裁の資料に書かれた額
法人自己破産の申立手数料 1,000円
法人管財事件の予納金基準 最低20万円に、法人1件につき16,264円を加算
自己破産申立ての予納郵券 4,950円。大型合議事件は別の額

上の通常の郵券額を使い、基準額のうち最低額で計算すると222,214円です。これは裁判所に納める費用の一例で、弁護士費用は入っていません。自社がこの額で申し立てられるという保証にもなりません。予納金は事案によって変わります。

16,264円は、法人管財事件の官報公告料金です。中目黒庁舎で現金で納める場合は17,000円とされています。納め方による違いも確かめてください。

また、同じ資料の中でも「債権者による申立て・本人申立て」は別の基準表になっています。弁護士費用を浮かせようと本人で申し立てても、総額が必ず下がるとはいえません。東京以外の裁判所や支部に、上の金額をそのまま当てはめないでください。

弁護士費用に一律の相場を置きにくい理由

会社の借金の額だけでは、弁護士の仕事量は決まりません。たとえば、債権者が多い、営業所や在庫が何か所もある、賃貸借やリースの契約が残っている、といった事情で対応が変わります。未払いの給料がある、会計の資料が足りない、といった場合も同じです。

社長個人も借金を整理するなら、会社の見積もりだけでは足りません。会社と個人を一緒に相談する場合も、どちらの業務・実費なのかを分けてもらいます。法人破産と代表者の自己破産の違いも読んでおいてください。

「安い事務所は危ない」「高い事務所なら安心」とは言えません。自社に必要な対応が見積もりに含まれているか、どんなときに追加が出るのかを理解できるかで比べてください。

法律事務所が公表している料金の一例

金額の目安として、タキオン法律事務所の料金表を見てみます。会社の着手金は、「債権者1〜4社・債務額3,000万円まで」の区分で税込55万円です。同じページにある会社1社だけの申立ての例では、裁判所の費用と実費の預り金を含めて78万円となっています。

これは、その事務所が条件を付けて公表している例です。全国の相場や最安値、当サイトのおすすめ先を示すものではありません。案件の事情で金額は増減するため、同じ条件で引き受けてもらえるか、何が別料金になるかは、見積もりで一件ずつ確かめます。この例を見ても、裁判所の費用だけでは総額が分からないことが分かります。

見積を受け取ったら、この7点を聞く

  1. この金額には、会社の申立ての準備から、管財人への引継ぎ、その後の対応まで、何が含まれますか。
  2. 裁判所に納める費用と弁護士費用は、それぞれいくらですか。
  3. 税金、郵送、証明書の取り寄せ、出張などは別料金ですか。
  4. 従業員・賃貸借・リース・在庫の対応で、追加の費用がかかるのはどんなときですか。
  5. 社長個人の相談や申立ては別料金ですか。
  6. 契約したとき、申立ての前、手続きの途中の、どの時点でいくら必要ですか。
  7. 依頼しなかった場合や、途中で方針が変わった場合、お金の精算はどうなりますか。

口頭の説明だけで決めず、見積書や委任契約書で確かめてください。「分割可能」と説明されたら、申立ての前に払い終える必要があるか、積み立てている間に何をしてもらえるかも聞きましょう。

費用を払えないときは、入出金と期限を見せて相談する

相談の前に書き出しておきたいのは、貯める目標額だけではありません。次の4つを並べておくと、どれだけ急ぐのか、どんな選択肢があるのかを説明しやすくなります。

整理する情報 書く内容
今使える会社のお金 現金・預金の残高。差押えなどで使えないお金があれば分けて書く
これから入る見込み 売掛金の入金日、金額、確実に入るかどうか
近い支払期限 給与、家賃、税金・社会保険料、借入の返済、仕入れの代金など
法的な期限 裁判所や債権者から届いた文書と、その期限

この表は「何から払うか」を自分で決めるためのものではありません。会社の預金や売掛金を申立ての費用に回せるか、支払いをどう扱うかも含めて、相談するための材料です。

返すめどのない新しい借入で費用をつくることや、売掛金を急いで人に譲ることは、一般的な解決策としてはおすすめできません。お金の出入りや契約の条件が、手続きにも影響するためです。相談前の資産・支払・記録の注意点もあわせて読んでください。

法テラスは法人の破産費用にも使えるか

法テラスの民事法律扶助は、会社や組合などの団体を対象に含めていません。会社名義の破産費用を当然に立て替えてもらえる、とは考えないでください。

一方で、社長個人の問題は別に相談できます。本人の収入・資産などの条件や事件の内容で判断されるため、会社の相談と個人の相談を分けて、対象になるかを確かめます。名前だけの小さな会社で、会社と個人の生活が一体になっている場合の扱いも、法テラスの案内を読んだうえで直接確かめてください。

事業を続けるか整理するか、まだ決まっていないなら、中小企業活性化協議会の無料の窓口相談も使えます。ただし、相談が無料でも、破産の申立てや計画づくりにかかる費用まで全部無料になるわけではありません。

費用についてよくある疑問

会社に資産がなければ、安く終えられますか

資産が少ないというだけでは、費用は決まりません。帳簿、過去の取引、従業員や契約の確認なども必要です。東京地裁の破産手続Q&Aでは、会社などは原則として管財事件として扱うとされています。個人の同時廃止の費用を、会社に当てはめないでください。

相談料が無料なら、その場で依頼すべきですか

相談料と、依頼した後の費用は別です。何を頼むのか、総額に何が含まれるのか、いつ動いてもらえるのかを確かめて決めます。差し迫った期限があるときは、その期限を伝えたうえで、ほかの事務所と比べる時間があるかも確かめましょう。

何を持っていけば費用を見積もれますか

決算書、債権者の一覧、資産の概要、従業員の数、主な契約、代表者保証の有無から始めます。足りない書類があっても、どこにあるか、いつ取り寄せられそうかは説明できます。相談資料のチェックリストを使って準備してください。

次にすること

印刷用の相談準備シートでお金と期限を書き出し、法人破産の弁護士を選ぶ確認項目に沿って問い合わせます。「費用が足りないこと」そのものを、最初の問い合わせで伝えて構いません。

参照資料と確認日

2026.09.17に確認。制度・費用・地域ごとの取扱いは変更されることがあります。本文中のリンクは該当する説明の出典です。