
この記事で分かること
- 初回相談と裁判所への提出書類は別に考える
- 会社の期限・資金・債務・資産からまとめる
- 不足資料は隠さず、所在と取得予定を伝える
会社の破産の初回相談では、会社の状況が分かる資料を持っていくと、話が具体的になります。ただし、初回相談の持ち物と、裁判所に出す正式な申立書類は同じではありません。決算書や契約書が全部そろうまで、予約を待つ必要はありません。
先に伝えたいのは「いつお金が足りなくなるか」「近い支払いや法的な期限は何か」です。資料がないところは「不明」と書いて持っていき、追加で集めるものは相談のときに決めましょう。
最初に作るのは、会社の状況を伝える1枚のメモ
書類を何十枚も印刷する前に、全体を1枚にまとめます。記憶に頼ってそれらしい数字を埋めず、おおよその数字と、確かめていない数字を分けて書いてください。
| 項目 | 初回相談で伝える内容 |
|---|---|
| 事業の現状 | 営業中か、止めているか。事業所と従業員がいるか |
| 急ぐ事情 | 支払日、裁判所から届いた文書の期限、差押え、明渡しなど |
| 手元のお金 | 会社の現金・預金と、使えない事情があるか |
| 入金と支払いの予定 | 近い入金日・支払日。確実に入るお金か |
| 借金と資産 | 借入・買掛金・税金などの概要、売掛金・在庫・設備など |
| 個人との関係 | 代表者保証、会社と代表者の貸し借り、個人の借入 |
| 聞きたいこと | 続けられるか、整理の方法、費用、当面どうするか |
印刷用の相談準備シートを用意しました。書き込んだ内容が当サイトに送られる仕組みはありません。手元に保存・印刷して、相談先には必要な分だけ渡してください。
初回相談に持参すると役立つ資料一覧
次の表は、編集部が相談用にまとめたチェックリストです。どの裁判所にも共通の提出書類の一覧ではありません。相談を予約するときに、何をどう持っていけばよいかを事務所に確かめてください。
| 分類 | 手元にあれば用意する資料 | 何を説明するためか |
|---|---|---|
| 会計 | 直近の決算書・申告書、試算表、資金繰り表 | 前回の決算から今までに何が変わったか |
| お金の動き | 会社の口座の残高・入出金明細、現金出納帳 | 使えるお金と最近の取引 |
| 債権者 | 借入・買掛金の一覧、督促状、税金・社会保険料の通知 | 誰に、いくら、いつ払う約束か |
| 資産 | 売掛金の一覧、在庫・設備・車両・不動産などの資料 | 会社の持ち物、回収の見込み、担保など |
| 契約 | 融資・保証・賃貸借・リース・継続取引の契約書 | 解約や返却、保証についての条件 |
| 従業員 | 人数、給与台帳、未払いの給料や退職金の資料 | 雇用について必要な対応 |
| 会社の基本情報 | 登記事項証明書、定款など | 会社の形、所在地、役員など |
| 争い・期限 | 訴状、支払督促、差押命令、契約解除の通知など | すでに進んでいる手続きと期限 |
決算書だけで足りないのは、決算の後にもお金が動いているからです。最近の入出金を説明できると、今の状況を確かめやすくなります。一方、取り寄せに時間や費用がかかる証明書は、何通、いつ発行のものが要るかを聞いてから取り直すほうが、無駄が少なくて済みます。
債権者一覧は、借入先だけで終わらせない
お金を払う相手は銀行だけではありません。仕入先、家主、リース会社、税金・社会保険料、従業員、代表者からの借入などもあります。相手ごとに「債権者名/債務の種類/残額/期限/担保・保証/関連資料」を並べてください。
支払うべきか争っている請求や、会社に払う義務があるか分からないものも、自分の判断で消さないでください。「争いあり」「確認中」と書いておきます。どこまでを債権者とするかは、弁護士に判断してもらいます。
会社の資産と、借りている物を区別する
同じ事務所に置いてあっても、会社の持ち物の設備、リースの物、お客さんから預かった物は、それぞれ扱いが違うので分けてください。誰の物か分からなければ「不明」と書いておき、契約書を探します。相談のために、先に返したり、売ったり、捨てたりする必要はありません。
書類がない・帳簿が整理されていない場合
資料が足りないこと自体を、そのまま説明してください。なくしたのか、税理士や前の担当者が持っているのか、会計サービスに残っているのかで、次にすることが変わります。
- 資料の名前と、今どこにあるか、誰が管理しているかを一覧にする。
- どうすれば、いつ手に入るかを書く。分からなければ「未確認」とする。
- 代わりに使えそうな請求書・通帳・メールなどがあれば伝える。
- 予約のときに足りない資料を知らせ、手元の資料だけで先に相談できるか確かめる。
体裁を整えるために、日付をさかのぼった契約書や、実際にはない取引の領収書を作ってはいけません。後からメモとして整理する場合は、自分で作ったメモだと分かるように書き、もとになる記録とは分けて保管します。
クラウド会計や会社のメールを解約する前に、データの残し方を確かめましょう。ログインできなくなると、必要な取引の記録を後から取り出しにくくなります。具体的な注意点は記録・資産の扱いの注意点にまとめているので、あわせて読んでください。
裁判所へ提出する正式書類は、相談後に確認する
書式や運用は裁判所ごとに違い、会社の事情によって追加の資料も変わる点に注意してください。たとえば札幌地裁の法人破産書式には、申立書のほかに、債権者や財産についての書式が載っています。労働債権者の書式や、継続的給付契約の書式もあります。
一方、東京地裁の破産手続Q&Aによると、会社の申立てで通帳の写しを裁判所に出す必要はありません。ただし、管財人には通帳のコピーなどを出す扱いだと説明されています。
このように、「相談で状況を知るために使う」「裁判所に出す」「管財人に引き継ぐ」は、それぞれ使い道が違います。インターネットで見つけた一覧を、そのまま全国共通の必須書類だと思わないでください。何年分を用意するか、原本か写しか、電子データでよいかも、相談先に確かめます。
代表者個人も相談するなら、会社とファイルを分ける
会社と社長の自己破産を一緒に考える場合も、家計・個人の口座・個人の資産・個人保証の情報は、会社の資料とは別に綴じてください。次のように分けておくと、資料の取り違えを減らせます。
- 「会社」には、会社名義の契約、口座、資産、借金を入れる。
- 「個人」には、個人名義の借入・保証、収入、預金、資産などを入れる。
- 「両方に関係」には、会社と個人の貸し借り、社長が保証している契約を入れる。
本人以外の資料が要る場合も、どこまで出すかを先に確かめます。資料がまだ手に入っていないからといって、事情の説明を後回しにしないでください。会社と個人の手続きの分け方も参考になります。
予約時に確認すること
初回の相談料と相談時間のほか、会って話すかオンラインか、PDFと紙のどちらで持っていくか、原本が要るかを聞きます。人に見せたくない資料を送るときは、事務所の正式な送り先と送り方を確かめてください。口座のパスワードや認証コードを、相談の資料に書く必要はありません。
予約の連絡では、たとえば次のように伝えられます。
法人の整理について相談したいです。営業は継続中で、近い支払期限があります。決算書と口座の明細はありますが、債権者一覧は作成途中です。この状態で相談可能か、先に必要な資料と相談料を教えてください。
これは問い合わせに使う文の例です。自社の実際の状況に置き換え、急ぐ期限があれば具体的に書いてください。
よくある疑問
決算書が古いと相談できませんか
古い決算書でも、いつの数字かをはっきりさせて持っていけます。今の残高や入出金のメモを付けて、足りない資料を伝えてください。予約先の案内も読んでおきましょう。
スマートフォンの口座画面だけでもよいですか
最初の説明には役立つことがあります。ただ、必要な期間や取引の中身が足りないこともあります。明細をダウンロードできるかを確かめ、どう出せばよいかを相談先に聞いてください。
準備が終わったら、すぐ申立てになりますか
相談では、会社の状況や、破産とは別の整理の方法も検討します。相談した時点で破産が決まるわけではありません。依頼した後の進み方は、法人破産の流れで確かめられます。
参照資料と確認日
2026.09.17に確認。制度・費用・地域ごとの取扱いは変更されることがあります。本文中のリンクは該当する説明の出典です。


